5月はカレンダー通りの診療となります ~ウンチのうんちく 慢性便秘症について~
有休を使ってのまさにゴールデンウィーク、な方も多いのではないでしょうか。
今月はカレンダー通りの診療となります。お休みの前後は混みあうことが予想されますので予めご了承ください。
先日、2023年に便秘症のガイドラインが改訂されたことを知りました(便通異常症診療ガイドライン2023 慢性便秘症)。それに伴った様々な興味深い知見を得ましたのでここでいくつかご紹介したいと思います。
整形外科で便秘?と思われるかもしれませんが、お時間のある方は是非お付き合いください。
慢性便秘症ざっくり定義すると、「硬い便や少ない排便回数によって日常生活に支障があったり、身体にも様々支障をきたしうる病態」のことです。頻度は10-15%とされ、意外と少なくないなという印象を持たれるのではないでしょうか。
リスクとしては女性、加齢に加え、腹部手術歴、特定の基礎疾患(糖尿病、内分泌疾患、神経筋疾患、精神疾患など)、薬剤など多岐にわたります。
慢性便秘症はQOLを低下させ、心血管疾患の発症や死亡リスクを上昇させるだけでなく、パーキンソン病や腎疾患の発症リスクの上昇に関与するため、長期予後に影響を与える可能性があるそうです。
ちなみに毎日排便がある人に比べ
・便秘の人が循環器疾患で死亡するリスクは排便頻度が「4日に1回以下」の人で約1.4倍
・認知症のリスクは排便頻度が「週3回未満」の男性で約1.8倍、女性で約1.3倍
も高くなることが報告されており、便の硬さは認知症リスクを約1.3倍~2.2倍も上げることが報告されています。
いきむときは血圧が高くなりやすいので心血管疾患のリスクが高くなることは想像できると思うのですが、認知症リスクが高くなると聞いてかなり驚きました。
便秘を改善するためには
運動(腹部マッサージ、適度な運動習慣)
食事(朝食を摂取し腸を動かす、食物繊維や水分の摂取、キウイフルーツやプルーンなど)
排便習慣(排便にかける時間をしっかり確保、トイレでの姿勢、便意を感じたら我慢せず排便)
など、複合的に介入することが必要です。
また、ここ数年で自然な排便を促したり便意を改善する薬剤が次々登場しています。便秘でお困りの方は薬剤の見直しや便秘薬の処方などを主治医の先生と相談してみることもご検討ください。
診療科関係なく相談にのってもらえるようではないでしょうか
ただし、排便習慣の急激な変化、血便、6か月以内の予期せぬ3㎏以上の体重減少、発熱、関節痛、異常な身体所見(腹部腫瘤の蝕知、腹部の波動等)などの症状がある場合は悪性疾患の存在も否定できませんので消化器科など専門医の受診を優先してください。
おなかはゆるい方です石坂公介