年末年始のお知らせ ~膝の水はぬいてもクセになりません~
日に日に気温が下がり、空気も肌を刺すように冷たくなってきましたが、皆様お変わりありませんでしょうか。石坂公介です。
年末年始の休診日は12月29日(木)~1月4日(水)となりました。お間違えのない様、お気を付けください。
決定がおそくなって申し訳ありません
外来で診察していていると、患者さんから「膝の水をぬくとクセになるんでしょ」と聞かれることがあります。タイトルにある通り、膝の水をぬいてもクセにはなりません。
膝関節は骨と骨が関節包という袋で包まれた構造をしています。その中は常に少量の水(関節液)で満たされています。通常であれば産生と吸収のバランスが保たれているため、水がたまることはありません。しかし、なんらかの理由でそのバランスが破綻すると産生が優位となり、関節液が過剰となり「膝に水がたまる」のです。
つまり、水を抜くから貯まるのではなく、そもそもの産生が過剰になっているのです。
「どうせ抜いても貯まるのなら、そのままでもいいじゃない」と思われるかもしれません。量が少なければそのままでも大きな問題にはなりにくいですが、関節液が増えてくると膝の曲げ伸ばしがしづらくなり
関節を動かしづらくなる(拘縮)→筋肉が萎縮する→痛みが長引く→動かしづらくなる
という悪循環に繋がってしまいます。
原因として多い変形性膝関節症は、滑膜という関節包の内側を裏打ちしている組織が原因です(先ほどの膝の絵を参考にしてください)。炎症性滑膜は関節を動かすことで改善し、また適度な荷重は滑膜にも軟骨にも良いことが研究で示されています。つまり痛くて歩かなかったり動かさなかったりすると、炎症は改善せず、軟骨にも悪影響を及ぼすのです。
実際に水を抜いた直後から膝の動かしやすさを実感する患者さんは多く、動かすチャンスですよと説明しています。ヒアルロン酸注射のほか、膝関節の可動域訓練や大腿四頭筋のトレーニングも合わせて行っていきます。
ちなみに関節液が貯まる原因は、変形性膝関節症以外にも関節リウマチ、痛風、偽痛風など様々あります。膝の症状でお困りの方、心配な方はお近くの整形外科の受診をおすすめします。
石坂公介