特発性大腿骨頭壊死症について①
特発性とは『 原因不明 』という意味です。大腿骨の頭の部分に圧潰を来たし、痛みを呈します。原因不明ではありますが、アルコール多飲歴や副腎皮質ステロイドの投与と深く関連することが判明しています。俳優の坂口憲二さんや、オリックスの西浦颯大選手のニュースで聞き覚えのある方がいらっしゃるかもしれません。
頻度は男性では40代、女性では30代にピークがあり、男性にやや多く、わが国では年間2000~3000人発生するとされています。
症状は股関節痛が主ですが、股関節疾患は一般的に膝痛や臀部痛などを自覚することも多く、診断に至るまで時間を要することがあもあるため注意が必要です。
診断は症状に合わせて単純X線画像で評価しますが、初期にはX線上の変化が乏しいため診断できないことがあります。その場合はMRIで評価することもあります。
左図:MRIでバンドパターンと呼ばれる黒い線を認める。
右図:X線像では帯状硬化像と呼ばれる白い線がみられる。
(股関節学(金芳堂)から抜粋)
特発性大腿骨頭壊死症はそれ自体が命に関わる疾患ではありませんが、痛みや可動範囲が狭まることで、生活の質に大きく影響します。圧潰の程度が小さく症状が乏しければ保存治療(定期的な経過観察)となりますが、圧壊が進行し症状が強い場合は手術治療が選択されます。
今回千原ジュニアさんは人工股関節置換術を施行されました。夜間痛もあったとのことですので、症状はかなり強かったものと推察します。人工股関節置換術の術後は比較的すみやかに症状が改善するケースが多く(手術の痛みは数日続きますが)、千原ジュニアさんをテレビで拝見する日もすぐ来るでしょう。
人工股関節のイメージ図です(写真の右側の白い部分が人工関節です)
ちなみに、手術治療には大きく人工股関節置換術と関節温存手術にわかれますが、長くなってしまったので治療についてはまた次回お話します。
石坂公介